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今週の記事1本

こちらでは、カトリック新聞に掲載されている記事を、毎号につき1本お読みいただけます。



大震災 避難所での教訓生かして
『発達障がい児者受け入れのてびき』発刊




 7年前の東日本大震災の教訓を生かして、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会はこのほど、避難所での「配慮が必要な人」への対応マニュアル『災害時に備えて 発達障がい児者 受け入れのてびき』(以下『てびき』)を作成した。
  『てびき』(A4判38ページ)は全3章で、第1章では、自閉症など発達障害のある人々の特性や彼らに配慮すべき点を日ごろから学ぶ大切さを説明する。
  第2章では、障害者や高齢者、妊産婦や乳児、外国人ら“災害弱者”に配慮した避難所の設置方法などの実践情報を提供。
  第3章は「発達障害者支援センター一覧」等の資料集。
  発達障害のある人の特性は一人一人異なるが、一般的には環境の変化に容易に順応できず“パニック症状”を起こしたり、集団生活になじめなかったりすることもある。特に災害時や避難所ではそれが顕著になる。
  3年かけて『てびき』を作成したWCRP/RfP日本委員会女性部会の会長、森脇友紀子さん(東京・麹町教会/東京大司教区アレルヤ会会長)は、こう説明する。
  「ある自閉症児は、避難所での集団生活に適応できずパニック状態になり、ご家族は車の中で避難生活を送ることにしたそうです。しかし、彼らが配給の列に並ぶと、避難所の人間ではないと非難され、列から外されたという話を聞き、女性部会として何かしなくてはと、『てびき』を作ることにしたのです」

 教会は福祉避難所

 京都・カトリック河原町教会で行われた『てびき』発刊記念イベント(4月25日)では、日本福音ルーテル健軍教会(熊本)の小泉基(もとい)牧師が、2016年4月の熊本地震の際に教会が“福祉避難所”となった経験を紹介。
  被害の大きかった益城町(ましきまち)の近くにあった同教会では、門に「避難できます」とPRの紙をはり、礼拝堂を居住空間として1カ月半にわたり最大で50人を受け入れたという。避難者の3分の2は地域住民で、中には視覚障害者や車いす利用者、外国人の姿も。幸いにも停電にならなかったため、携帯電話の充電のために教会に来る人もいた。
  教会の信徒の中には福祉施設の関係者も多く、信者100人ほどが毎日3回の食事を教会ホールで提供することができたという。小泉牧師はこう話す。
  「避難生活では皆で食卓を囲むことを一番大切にしました。これは、小規模な“私的避難所”だからこそできたことです。食事をしながら話すうちに仲良くなり、相談事をしたり、障害のある人をサポートしたり、お互いが自然に助け合うようになりました」
  このようにして、公的避難所での生活が難しい”災害弱者“を受け入れていくうちに、結果として教会が「福祉避難所」の役割を担っていったという。教会だからこそ支援体制はつくりやすく、最後の11人が生活を立て直すまで被災者に寄り添った。

 避難所運営の実践ゲーム

 その後のワークショップ(体験型演習)では、4グループに分かれて避難所運営のゲームを行った。避難者の年齢・性別・諸事情が書かれた数十枚のカードを、避難所に見立てた平面図に配置し、避難所運営を模擬体験するというものだ。カードにはこのように書かれている。
  《女性10歳 発達障害をもつ。大きな音や人混みが苦手》
  《女性31歳 聴覚障害。手話・筆談可》
  《男性65歳 旅行中の中国人。日本語は分からない》
  参加者は、それぞれのカードを見ながら、「車いす用のトイレはどこにつくるの?」「外国人にどのように情報提供するの?」などと意見を交わしながら、避難所の配置を考えていった。
  そして参加者からは「教会が避難所になることを想定し、日ごろから対応を考えておく必要がある」との声が多く上がっていた。
  購入は、WCRP/RfP日本委員会事務局(FAX〇三3383七九九三、メールinfo@wcrp.or.jp)まで。500円(送料別)。

 

 




『災害時に備えて 発達障がい児者受け入れのてびき』の内容の一部



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