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今週の記事1本

こちらでは、カトリック新聞に掲載されている記事を、毎号につき1本お読みいただけます。



教皇 UAE(アラブ首長国連邦)を訪問
「信教の自由」拡大求める
諸宗教指導者による
「人類のきょうだい愛会議」で
自由と平和に広い視野を



 教皇フランシスコは2月3日から5日まで、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを訪問した。ローマ教皇がアラビア半島に足を踏み入れるのは歴史上初めて。教皇は4日、主要宗教の指導者700人が参加した諸宗教対話会議で、礼拝の自由だけに限られている「信教の自由」の拡大を求めた。イスラム指導者と共に「人類のきょうだい愛」についての文書にも署名した。5日には、同国のカトリック信者十数万人を前に野外ミサをささげ、柔和さと愛で信仰を証しするよう励ました。

【アブダビ(アラブ首長国連邦)2月4日CNS】イスラム国家だが移住労働者としてキリスト信者を受け入れ、礼拝の自由を認めているアラブ首長国連邦で、教皇フランシスコは世界の主要宗教指導者たちに向けて、自由と正義、寛容と平和についての視野を広げるよう呼び掛けた。
  教皇は2月4日、同国の首都アブダビで開かれた諸宗教指導者による「人類のきょうだい愛会議」で演説し、同じ唯一の神を信じる全ての人があらゆる人を兄弟姉妹として認め、その信条を特に少数派や貧しい人への対応のうちに示さなければならない、と強調した。
  イスラムやキリスト教、ユダヤ教、仏教、シーク教、ヒンズー教などの諸宗教指導者ら約700人が参加した「人類のきょうだい愛会議」は、教皇の同国訪問の最大の目的だった。会議を主催したのはアブダビに本部を置く「ムスリム長老評議会」。
  アブダビの皇太子とエジプト・カイロのアルアズハル大学の大イマーム(指導者)で同評議会議長のアフマド・アルタイーブ師も列席する中、教皇フランシスコはアラブ首長国連邦のキリスト信者に対する尊重と寛容の姿勢に感謝の意を示したが、演説の中ではさらに要求を続けた。
  「同じ仲間や同国人、(そして)同じ宗教の信者にだけ向けられる正義は、まともな正義ではありません。その正体は不正義です」と教皇は会議の参加者たちに語った。
  「私たちは、あらゆる人、あらゆる人のいのちの聖性を大切にすることなしに創造主に栄光を帰することはできません。一人一人の人が神の目には同じように貴いのです」
  アラブ首長国連邦で生活する市民の約80%は移住労働者で、カトリック信者もほとんどがその中に含まれる。市民権は与えられていないが、好景気に沸く経済に大きく貢献している。
  カトリック信者たちは同国の支配層から寄付された土地に建つ教会で自由に礼拝に参加できるが、改宗工作で罪に問われないように細心の注意を払う必要がある。同国政府はイスラムについても、政治的に危険と思われるかテロとの関連を疑われる団体について厳しく監視している。
  教皇の前に演説したアルタイーブ師は、同胞のムスリムに向けて、「キリスト信者を兄弟姉妹として受け入れる」よう呼び掛け、「暴力の正当化に神の名を用いることはできない」と強調した上で、キリスト信者には「完全な権利」が認められるべきだと語った。
  教皇フランシスコは会議の参加者たちにこう語った。信教の自由は「礼拝の自由だけに限定されるものではありません。それは他の人のうちに、神が自由を与えられる私たち人類の子どもとして、真の兄弟または姉妹を見いだします。ですから、どんな人間社会も、神の名を用いて、人を抑圧することはできません」。
  教皇は事前に準備した原稿から少しそれて、性別や民族、言語などの違いは全てが「神の知恵」のしるしで、決して人の自由を制限する口実になってはならない、と強調した。
  あらゆる宗教の信者は絶えず、「他の人を敵や反対者として裁くことを繰り返す傾きから清められなければなりません」と教皇は指摘する。宗教の信者はかえって、ご自分の子どもたちの間で差別をしない神の「天の国の視点」を持てるように努力しなければならない、と教皇は付け加えた。

 イエメン内戦 惨状に懸念示す

 教皇フランシスコは諸宗教指導者たちに、「人の心の非武装化」と戦争反対で共に働くよう促した。
  「戦争は悲惨以外をもたらすことはできません」と続け、「武器がもたらすのは死だけです」と訴えた。
  教皇フランシスコは自身が話題にしているのは理屈の上での戦争ではないと強調した。「その悲惨なむごたらしさ」と「おぞましい結果を私たちが実際に目にしている」中、「私は特にイエメンとシリア、イラク、リビアのことを思っています」。
  イエメンの内戦は2015年3月に始まった。同国の暫定政権を支持するアラブ連合軍はサウジアラビア主導で、アラブ首長国連邦も深く関わっている。反政府武装勢力のフーシ派はイランの支援を受けている。両戦闘当事者は、民間人を無差別に殺害するなど、国際人道法の深刻な違反で非難を受けてきた。
  国連の世界食糧計画は昨年12月、イエメンが「過去100年で世界最悪の人道危機」にあり、総人口2800万の半数が飢餓に陥り、現代史上最悪のコレラ流行に見舞われていることを明らかにした。

 「対話の文化」と「相互協力」選ぶ

 会議の最後に、教皇フランシスコとアルタイーブ師は共に、「世界平和と共生のためのきょうだい愛についての文書」に署名した。
  同文書では「東西の」ムスリムとカトリック信者が「対話の文化をその道として、相互協力を行動の規範として、相互理解を方法と基準として選び取ることを宣言」している。 

 



アブダビの皇太子と首相による歓迎式典で出席者と握手する教皇フランシスコ(CNS)




 

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