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今週の記事1本

こちらでは、カトリック新聞に掲載されている記事を、毎号につき1本お読みいただけます。



広島
平和の糸をつむぐ
「沖縄の痛み」に連帯

 「日本カトリック平和旬間」(8月6日〜15日)の慣例行事として、広島教区(白浜満司教)は8月5日と6日、祈りの集い、ミサ、平和行進など、さまざまな「平和行事プログラム」を広島市の世界平和記念聖堂(幟町(のぼりちょう)教会)等で実施した。今年の総合テーマは「平和の糸をつむぐ」。特に基地問題で苦しむ「沖縄の痛み」に連帯しようと、沖縄をテーマにしたプログラムを多く準備。「相手の痛み」を知った一人一人がどのように行動につなげていくのかを問う2日間となった。

 広島教区の最初の「平和行事プログラム」は、3人の司教によるパネルディスカッション「平和の糸をつむぐための教会の役割を振り返る」。
  白浜司教の司会で、まず札幌教区の勝谷太治司教は、「社会に開かれた教会」へと転換した第2バチカン公会議(1962―65年)で発布された『現代世界憲章』と、聖ヨハネ23世教皇の回勅『地上の平和』(63年)を取り上げた。キリストの教えに基づく「平和」について、「積極的な平和主義は、軍事力によるものではなく、ただ単に戦争がない状態でもない。一人一人の人権が尊重されるのが真の平和だと、教会では考えています」と強調した。
  名古屋教区の松浦悟郎司教は、81年に来日した聖ヨハネ・パウロ2世教皇が日本の教会に与えた影響を二つ挙げた。一つは、教皇来日の準備をする中で、司教団に「日本の教会」という意識が高まったこと。二つ目は、教皇が広島で「平和アピール」をしたことで、「被爆国の日本」から「世界」に発信したという意識を持ったことだ。
  翌年、司教団は「日本カトリック平和旬間」を設定。5年後には、第2バチカン公会議の精神を受け継いだ「第1回福音宣教推進全国会議(NICE(ナイス)・1(ワン))」を開催した。社会の現実を見て、「日本の教会」の在り方を問い続けるようになった。
  松浦司教は、「教会の目的は、この地上を『神の国』へと変貌させること。キリストのように考え、行う世界を“この世”でつくることです。今、沖縄で起きていることは日本で起こっていることであり、同時に私たち教会がどう受け止めるかが問われているのです」と語った。
  3人目の那覇教区のウェイン・バーント司教は、「沖縄県民」が軍事基地について「反対」の民意を示しても、日本政府から無視されている現実についてこう話した。
  「日本国民として同じ権利が与えられるはずなのに、声(民意)を無視されることは、沖縄の人を傷つけます。沖縄の人々の許可なく軍事基地をつくるなら、沖縄の皆を傷つけます。この差別が一番大きな問題です」
  軍事基地は、沖縄県民を“賛成派”と“反対派”にも分断してきた。それによって沖縄の人々は傷つけられてきた。そこでバーント司教は、那覇教区が沖縄の現実と共に歩むために、「守ろう、沖縄における人権を!」など、今年の教区目標を三つ決めた。那覇教区では、「福音の光」に照らして、社会の諸問題がもたらす心身と霊魂の痛手について考え、その癒やしや回復に具体的に取り組む決意をしている。

 各人で平和を

 その後の四つの分科会は、いずれも「平和」のために「自分にできることは何か」を具体的に問うものだった。分科会「沖縄はいま〜わたしにも出来ること〜」では、バーント司教のほか、会沢(あいざわ)芽美(めみ)さん(沖縄・読谷(よみたん)教会)と齋木(さいき)登茂子(ともこ)さん(東京・徳田(とくでん)教会)が登壇。
  北海道生まれのメッセージシンガー会沢さんは、沖縄に移住し、沖縄戦の証言や“基地沖縄”の現実をもとに「ひとり芝居」を全国各地で行っている。翌6日の広島平和行事でも『もうひとつの戦争―ガマの中で見たこと―』を世界平和記念聖堂で演じた。
  「次の戦争の準備をしている国が居座り、その国に力を貸す国に、土地や海、空を提供させられる。米兵によってレイプされた少女、ガソリンをつけられ焼かれた少年、民家への侵入、米軍機の墜落。沖縄にいらないものは、どこの県にもいらないんです。それが沖縄の心なんです」と会沢さん。
  また東京在住の齋木さんは、沖縄に足を運ぶと同時に、自分が住む東京で「声を上げる抗議行動」を続けている。大切なことは、日本全国で沖縄の民意を支えるために「声を上げる」ことだと語った。

 韓国からも巡礼団

 分科会後は、平和記念公園内の原爆供養塔前で日本聖公会との合同による「祈りの集い」。続いて聖歌を歌いながら、世界平和記念聖堂までの平和行進を行った。行進の列には、韓国の「済州(チェジュ)教区」のプラカードを持った中学生の姿もあった。日韓関係が悪化し、交流イベントや旅行もキャンセルが相次ぐ中、チェジュ教区からは中学生19人と助祭・修道者4人が、京都教区「中学生会広島平和巡礼」に合流していたのだ。
  チェジュ教区の助祭や修道者は口々にこう話した。
  「政治的なことに巻き込まれるのではなく、平和のために広島平和巡礼に参加するのは当たり前のことです。教会では全然文句も出ず、一人のキャンセルもありませんでした。広島に来ることは、世界の平和を考えるためにも大切なことなのです」
  こうしたチェジュ教区の「平和への行動」は、14年前から続いている京都教区との姉妹教区としての交流の実りでもある。
  夜の平和祈願ミサは、バーント司教の主司式でささげられ、翌朝の「原爆・すべての戦争犠牲者のためのミサ」にも、全国各地の14人の司教が参加、「平和」への思いを強くアピールしていた。

韓国・済州(チェジュ)教区の中学生らも合流した平和行進。背景に原爆ドームが見える

 

 

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